赤ちゃんの鉄分不足は、離乳食でのレバーの取り入れ方しだいで大きく改善できます。「鉄分不足が心配だけど、レバーってどうやって離乳食に使えばいいの?」という疑問を持つパパ・ママは多いのではないでしょうか。この記事では、月齢別のレバーの進め方から、鉄分摂取の目安、よくある失敗と対処法まで、具体的にお伝えします。
なぜ赤ちゃんは鉄分不足になりやすいの?
赤ちゃんは生まれたとき、お母さんのお腹の中で蓄えた鉄(貯蔵鉄)を持っています。しかしこの貯蔵鉄は、生後4〜6ヶ月頃にほぼ使い切ってしまうとされています。それ以降は離乳食やミルクから鉄分を補う必要があります。
とくに母乳育児の場合、母乳に含まれる鉄の量は少なめです。そのため、生後6ヶ月を過ぎると鉄欠乏が生じやすいことが知られています(厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」)。
早産児や低出生体重児の場合は、さらに早い生後3〜4ヶ月頃から鉄が不足しやすいといわれています。鉄が不足すると、赤ちゃんの神経伝達物質の生成に影響を与え、精神運動発達に関わる可能性があることも、小児科領域では指摘されています(日本人の食事摂取基準(2025年版))。
鉄分不足のサインを知っておこう
赤ちゃんの鉄欠乏は、ゆっくり進行するためはっきりした症状がわかりにくいことがあります。以下のような様子が気になるときは、かかりつけの小児科に相談してみましょう。
- 顔色が白っぽい、蒼白に見える
- 普段より元気がなく、ぐったりしている時間が多い
- 離乳食や授乳の量が急に減った
- 体重の増えがゆっくりになってきた
これらのサインがあっても、必ずしも鉄分不足とは言い切れませんが、気になる症状は早めに小児科を受診してください。血液検査で確認できます。
月齢別・鉄分摂取目安と離乳食での補い方【比較表】
日本人の食事摂取基準(2025年版)をもとにした、月齢別の鉄摂取目安と、離乳食での主な補い方をまとめました。
| 月齢 | 鉄の推奨目安量(目安量) | 離乳食での補い方 | レバーの使い方 |
|---|---|---|---|
| 〜6ヶ月 | 0.5mg/日(目安量) | 母乳・ミルクが主体。離乳食開始前後 | まだ不要(使わない) |
| 7〜8ヶ月(中期) | 約3.5mg/日(推奨量) | 鶏レバー・ほうれん草・豆腐・卵黄 | 鶏レバーペースト 5〜10g程度から |
| 9〜11ヶ月(後期) | 約3.5mg/日(推奨量) | 鶏レバー・赤身肉・小松菜・納豆 | 鶏レバー刻み 10〜15g、週1〜2回 |
| 12〜18ヶ月(完了期) | 約4.5mg/日(推奨量) | レバー・赤身魚・鉄強化食品・青菜 | 柔らかく煮たレバー 15〜20g、週2回まで |
※数値は「日本人の食事摂取基準(2025年版)」をもとにしています。月齢や体格によって個人差があります。
鶏レバー100gには約9mgの鉄分が含まれているとされています(食品成分表より)。ほんの少量でも、離乳食の鉄分をぐっと補いやすい食材です。
レバー離乳食の進め方|月齢別ステップ
ステップ1:7〜8ヶ月(離乳食中期)からスタート
レバーを離乳食に取り入れるのは、生後7ヶ月の離乳食中期後半頃からが一般的です。まずは鶏レバーから始めるのがおすすめです。豚・牛レバーより臭みが少なく、やわらかくなりやすいからです。
中期の目安量:鶏レバー 5〜10g、週1〜2回
調理のポイントは、ペースト状にすること。舌でつぶせる固さ(絹ごし豆腐くらい)まで柔らかくしてから与えましょう。
中期のレバーペーストの作り方
- 鶏レバーの血管・脂肪を取り除き、一口大に切る
- 塩水(水200ml+塩少々)に15〜30分浸して血抜きをする
- 水をかえて再度さっと洗い流す
- 沸騰したお湯でしっかり火が通るまで茹でる(約10分)
- フードプロセッサーやすり鉢でなめらかなペースト状にする
- 茹で汁や野菜スープで伸ばして、とろとろの状態に仕上げる
初めて与えるときは、小さじ1/4(約1g)から始め、異変がなければ少しずつ量を増やしていきましょう。
ステップ2:9〜11ヶ月(離乳食後期)での取り入れ方
後期になると、指でつぶせる固さのものを食べられるようになります。レバーも、細かく刻んだりほぐしたりした状態で与えられるようになります。
後期の目安量:鶏レバー 10〜15g、週1〜2回
この時期は、野菜あんかけやおかゆに混ぜると食べやすくなります。離乳食の冷凍保存も活用して、まとめて調理しておくと便利です。
茹でたレバーを小分けにして冷凍しておけば、必要なときに解凍してすぐ使えます。冷凍保存の期間は2週間を目安にしてください。
ステップ3:12ヶ月〜(離乳食完了期)のレバー活用
完了期になると、より多くの量を食べられるようになります。レバーを小さく切って炒めたり、煮物に加えたりすることもできます。
完了期の目安量:鶏レバー 15〜20g、週2回まで
ただし、レバーはビタミンAが豊富なため、食べさせすぎには注意が必要です。毎日ではなく週1〜2回を目安にしましょう。
なお、離乳食完了期のレシピでは、レバーを使ったメニューのアイデアもご紹介しています。
【よくある失敗・落とし穴】これでつまずく人が多い!
レバーを離乳食に取り入れようとして、うまくいかないケースがよくあります。よくある失敗とその対処法をまとめました。
失敗1:血抜きが不十分でにおいが残る
最も多い失敗が、血抜き不足による臭みです。「レバーをちょっと水に浸しただけ」では不十分なことがあります。
対処法:塩水に15〜30分浸す → 流水でしっかり洗い流す → この工程を2回繰り返す、がおすすめです。時間があれば牛乳に浸す方法も臭み取りに効果的とされています。
失敗2:一度にたくさん与えすぎる
「鉄分が足りないから」と思って、急に量を増やしてしまうケースです。レバーは栄養が濃縮された食材のため、消化への負担になる可能性があります。また、ビタミンAの過剰摂取にもつながりかねません。
対処法:中期は週1〜2回、1回5〜10gを上限の目安にしましょう。少量を定期的に取り入れる習慣のほうが、消化の面でも安心です。
失敗3:豚・牛レバーから始めてしまう
スーパーで手に入りやすい豚レバーから始めると、臭みが強くて赤ちゃんが嫌がることがあります。
対処法:最初は必ず鶏レバーから始めましょう。臭みが少なく、やわらかくなりやすいため、赤ちゃんも食べやすい傾向があります。
失敗4:火の通り方が不十分
レバーにはカンピロバクターなどの細菌が含まれることがあるため、必ずしっかり加熱することが重要です。中心部まで完全に火が通っているか確認しましょう。
対処法:茹でる場合は沸騰した湯で最低10分、フライパンで調理する場合は中心部が白くなるまで加熱してください。「もう少し柔らかくなってから取り出そう」と思ったら、もう1〜2分加熱するくらいがちょうどよいです。
失敗5:急に食べなくなって焦る
最初は食べていたのに、ある日急に拒否することがあります。味や食感が苦手になることは珍しくありません。
対処法:しばらく間をおいて再チャレンジするか、他の食材と組み合わせてみましょう。野菜あんかけやトマトソースに混ぜると食べやすくなることがあります。レバーがどうしても食べない時期は、ほうれん草や小松菜など植物性の鉄分でカバーしながら、焦らずにいきましょう。
レバー以外の鉄分豊富な離乳食食材
「レバーが手に入らない日」や「今日は食べてくれない」という場合は、他の食材で鉄分を補うことができます。
動物性食品(吸収率が高い)
- 赤身の魚(マグロ、カツオ):離乳食後期から。しらすや鮭も使いやすい
- 赤身の肉(牛・豚モモ):後期〜完了期から少量ずつ
- 卵黄:中期から。ゆで卵の黄身はとろとろに混ぜて
植物性食品(ビタミンCと一緒に摂ると吸収率アップ)
- ほうれん草・小松菜:茹でてみじん切りにして離乳食に混ぜやすい
- 大豆・豆腐・納豆:タンパク質も同時に摂れる
- ひじき:中期以降、少量をご飯や汁物に加えて
植物性の鉄(非ヘム鉄)は、動物性の鉄(ヘム鉄)に比べて吸収されにくいといわれています。ビタミンCを含む食材(ブロッコリー、じゃがいも、みかんなど)と組み合わせると、吸収率がアップするとされています。
レバーを使った離乳食アレンジ3選
鶏レバーと野菜のお粥(中期〜)
鶏レバーペースト 5g、七分粥 80g、人参ペースト小さじ1を混ぜるだけ。鉄分と炭水化物・ビタミンをまとめて摂れます。
レバーと豆腐の野菜あんかけ(後期〜)
細かく刻んだ鶏レバー10g、絹ごし豆腐30g、ほうれん草少々を出汁あんかけで仕上げます。とろみをつけることで飲み込みやすくなります。
レバーと小松菜のパスタ(完了期〜)
茹でて刻んだ鶏レバー15g、小松菜みじん切り、短く折ったスパゲッティをトマトソースで和えます。鉄分と非ヘム鉄、ビタミンCの組み合わせで吸収率アップが期待できます。
ビタミンAの過剰摂取に注意|レバーの与えすぎには気をつけて
レバーはビタミンAを多く含む食材です。ビタミンAは適切な量であれば成長に必要ですが、与えすぎると過剰摂取になる可能性がある点には注意が必要です。
日本小児科学会の情報をもとにすると、乳幼児へのビタミンAは、通常の食事の範囲で摂るのが安全とされています。レバーは週1〜2回、目安量の範囲内で使用する分には問題が少ないとされていますが、毎日大量に与えることは避けましょう(日本人の食事摂取基準2025年版)。
気になる場合は、かかりつけの小児科や管理栄養士に相談しながら進めると安心です。
鉄分強化食品やサプリメントはどうすべき?
「レバーが苦手で食べない」「毎回下処理が大変」という場合、鉄分強化のベビーフードや育児用ミルクを活用する方法もあります。市販の鉄分強化ベビーフードは、手軽に鉄分を補える選択肢として活用されています。
サプリメントについては、医師の判断なく与えることはおすすめできません。鉄の過剰摂取はかえって体に影響を与える可能性があります。健診のタイミングで小児科医に相談してみましょう。
ファーストスプーンなど離乳食宅配サービスでは、鉄分を考慮したメニューが含まれているものもあります。日々の離乳食準備が大変に感じる時期の助けになる場合があります(ファーストスプーン(離乳食宅配))。
まとめ|焦らず少しずつ、レバーで鉄分補給を
赤ちゃんの鉄分不足を離乳食で補うには、レバーは非常に有効な食材のひとつです。ポイントをおさらいします。
- 生後7ヶ月(中期後半)から鶏レバーのペーストで少量スタート
- 血抜きと十分な加熱が安全に使うための基本
- 週1〜2回、目安量の範囲内で、ビタミンA過剰摂取を避ける
- 嫌がるときはほうれん草・豆腐・卵黄など代替食材で鉄分を補う
- ビタミンCと一緒に摂ると植物性鉄分の吸収率アップが期待できる
- 顔色が悪い、元気がないなど気になる症状は小児科へ相談を
「もっとたくさん食べさせなきゃ」と焦る必要はありません。少量でも定期的に続けることで、鉄分摂取のサポートができます。赤ちゃんのペースに寄り添いながら、無理なく進めていきましょう。
離乳食の進め方全般については、9ヶ月の離乳食・手づかみ食べのメニューもあわせてご参照ください。
※本記事は公的機関の情報(厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」、日本人の食事摂取基準2025年版)をもとに作成しています。お子さんの体調や発達には個人差があります。判断に迷う場合や気になる症状がある場合は、かかりつけの小児科医にご相談ください。

