「離乳食で白身魚っていつから始めればいいの?」「どの魚から与えたらいい?」「アレルギーが心配で踏み出せない…」——そんなパパ・ママの声をよく耳にします。
白身魚は離乳食初期(生後5〜6ヶ月頃)から与えられる優秀な食材です。高タンパク・低脂肪で赤ちゃんの消化にも負担が少なく、月齢に合わせて種類・量・調理法を変えながら長く活用できます。
この記事では、厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)」をもとに、白身魚の種類別の特性・月齢別の目安量・アレルギー対処法をわかりやすく解説します。心配なことがあればかかりつけの小児科・かかりつけ医に相談しながら、無理のないペースで進めましょう。
白身魚を離乳食に取り入れるメリット
高タンパク・低脂肪で赤ちゃんに優しい
白身魚は赤身魚に比べて脂肪分が少なく、消化吸収がしやすいのが特徴です。タンパク質は赤ちゃんの筋肉・臓器・免疫機能の発達に欠かせない栄養素で、離乳食でも積極的に取り入れたい食材のひとつです。
クセが少なく食べさせやすい
白身魚は赤身魚(まぐろ・さんまなど)と比べてにおいが穏やかで、赤ちゃんが受け入れやすい食材です。調理すると繊維がほぐれやすく、ペースト状にしやすいため、離乳初期から活用できます。
豆腐の次のステップとして自然な流れ
離乳食でタンパク質を初めて与えるときは、豆腐からスタートすることが多いですね。豆腐に慣れてきたら、次のステップとして白身魚を加えていくのがスムーズです。焦らず一種類ずつ試していきましょう。なお同じ大豆製品では納豆も中期から使えるたんぱく源です。加熱の要否やひきわりの選び方は離乳食の納豆はいつから?加熱の要否とひきわりの選び方・月齢別の目安で解説しています。
白身魚の種類別比較表|アレルギーリスク・骨の多さ・入手しやすさ
白身魚といっても種類はさまざま。どの魚から始めるか迷う方のために、代表的な4種類を独自評価軸で比較しました。
| 魚の種類 | おすすめ開始月齢 | アレルギーリスク | 骨の多さ | 入手しやすさ | 特徴・ポイント |
|---|---|---|---|---|---|
| タイ(真鯛) | 初期〜(5〜6ヶ月) | 低め | 少ない | ◎(刺身・切り身) | クセがなく食べやすい。離乳食向けの初心者向き筆頭。刺身ならそのままペーストに |
| ヒラメ | 初期〜(5〜6ヶ月) | 低め | 少ない | ○(刺身) | 淡白で消化しやすい。刺身が手に入りやすい時期に活用しやすい |
| カレイ | 初期〜(5〜6ヶ月) | 低め | やや多め | ○(切り身) | ほんのりとした甘みがあり食べやすい。骨には注意が必要 |
| タラ | 中期以降(7〜8ヶ月) | やや高め | 少ない | ◎(切り身) | 白身魚の中では魚アレルギーが出やすい傾向。他の白身魚で慣れてから導入を |
※ アレルギーリスクは相対的な目安です。どの魚でもアレルギーが起こる可能性があります。初めて与えるときは少量から、平日の午前中など医療機関を受診できる時間帯を選びましょう。
月齢別の目安量と進め方シミュレーション
厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)」をもとに、月齢別の目安量を整理しました。あくまで目安ですので、赤ちゃんの食欲・体調・発育に合わせて調整してください。
離乳初期(5〜6ヶ月):1さじから慎重にスタート
| 時期 | 1回あたりの目安量 | 調理形態 | 与え方のポイント |
|---|---|---|---|
| 開始直後(5ヶ月〜) | 小さじ1(約5g)から | なめらかなペースト状 | まずおかゆ・野菜に慣れてから。1種ずつ試す |
| 初期後半(6ヶ月頃) | 小さじ1〜2(約5〜10g) | ペースト〜なめらかなつぶし | 食べ慣れたら少しずつ量を増やす |
おすすめの魚:タイ・ヒラメ・カレイ
調理法:加熱後に骨を完全に取り除き、すり鉢やフードプロセッサーでなめらかなペースト状に。水分(だし・湯冷まし)でのばして与えます。
離乳中期(7〜8ヶ月):かたまりを少し残してよい
| 時期 | 1回あたりの目安量 | 調理形態 | 与え方のポイント |
|---|---|---|---|
| 7〜8ヶ月 | 10〜15g(刺身1切れ弱) | 舌でつぶせる豆腐くらいのかたさ | ほぐしてあげればタラも試せる時期 |
新しく追加できる魚:タラ(慎重に)
タラはアレルギーが出やすい魚のため、他の白身魚に十分慣れてから少量ずつ試しましょう。初めて与えるときは平日の日中がおすすめです。
離乳後期(9〜11ヶ月):手づかみ食べにも活用
| 時期 | 1回あたりの目安量 | 調理形態 | 与え方のポイント |
|---|---|---|---|
| 9〜11ヶ月 | 15g(刺身1切れ程度) | 歯ぐきでつぶせるバナナくらいのかたさ | ほぐした白身魚の混ぜご飯・蒸し物・煮物など |
後期になると手づかみ食べが始まる赤ちゃんも多くなります。白身魚を使ったおやきや、ほぐした魚をやわらかく煮たものをひと口サイズにして渡してあげると喜ぶことも。9ヶ月の手づかみ食べメニューも参考にしてみてください。
原典で確認|「1回当たりの目安量」は月齢でこう変わる(公的ガイドの数値まとめ)
白身魚の量については、ネット上で「後期は15〜20g」「完了期は20g」など数値がばらつきがちです。そこで、こども家庭庁が公開している授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)の「離乳の進め方の目安」(同ガイド34ページ)に記載された1回当たりの目安量を、そのまま書き写して整理しました。魚だけでなく、同じ枠に並ぶ食品もあわせて載せています。
| 時期 | 魚(g) | 同じ枠で置き換えられる食品の目安量 |
|---|---|---|
| 離乳初期 (生後5〜6か月頃) |
数値の記載なし | 「慣れてきたら、つぶした豆腐・白身魚・卵黄等を試してみる」と記載。量は「1日1回1さじずつ始める」という示し方 |
| 離乳中期 (生後7〜8か月頃) |
10〜15 | 肉10〜15g/豆腐30〜40g/卵黄1〜全卵1/3個/乳製品50〜70g |
| 離乳後期 (生後9〜11か月頃) |
15 | 肉15g/豆腐45g/全卵1/2個/乳製品80g |
| 離乳完了期 (生後12〜18か月頃) |
15〜20 | 肉15〜20g/豆腐50〜55g/全卵1/2〜2/3個/乳製品100g |
出典:こども家庭庁/厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)」34ページ「離乳の進め方の目安」より、魚および同欄の食品の1回当たりの目安量を転記。ガイド本文には「以下に示す事項は、あくまでも目安であり、子どもの食欲や成長・発達の状況に応じて調整する」と明記されています。
読み違えやすいポイント3つ
- 「魚 又は 肉 又は 豆腐…」という並び:表は「魚・肉・豆腐・卵・乳製品」を又はでつないで示しています。1回の食事で全部をこの量ずつ食べさせる、という意味ではありません。主菜1品分の目安と読むのが正解です。
- 後期(9〜11か月)は15gで、15〜20gではない:15〜20gは完了期(12〜18か月)の数値です。ひとつ先の時期の量を後期に当てはめてしまう読み違えがよく起こります。上の表のとおり、後期は15gが原典の記載です。
- 初期(5〜6か月)に「◯g」という数値はない:ガイドは初期について「子どもの様子をみながら1日1回1さじずつ始める」と示すだけで、魚のグラム数を出していません。よく見かける「初期は小さじ1(約5g)」は、この「1さじ」を家庭で量りやすく言い換えたものです。数値どおりに食べられなくても、ガイドから外れているわけではありません。
魚の種類を進める順序も原典に書かれている
「タイの次は何を出せばいいの?」という順番についても、同ガイドの32ページに明記があります。
離乳が進むにつれ、魚は白身魚から赤身魚、青皮魚へ、卵は卵黄から全卵へと進めていく。食べやすく調理した脂肪の少ない肉類、豆類、各種野菜、海藻と種類を増やしていく。
つまり白身魚は「魚の入口」として公的に位置づけられている食材です。白身魚に慣れたら赤身魚(まぐろ・かつおなど)、その後に青皮魚(さば・いわしなど)へ、という順序になります。焦って青皮魚まで進める必要はなく、白身魚の期間が長くても問題ありません。
なお、これらはあくまで健康な赤ちゃんに向けた一般的な目安であり、個別の診断や指示ではありません。目安量を大きく下回る日が続く、体重が増えない、魚を食べたあとに発疹や嘔吐が出るなど気になる症状があるときは、自己判断せずかかりつけの小児科へご相談ください。
アレルギーへの備えと対処法
初めて与えるときの3つの鉄則
- 平日の午前中に与える:万が一症状が出たときに、すぐに小児科を受診できるよう時間帯を選びましょう
- 1種類ずつ試す:複数の魚を同時に与えてしまうと、どの魚が原因かわからなくなります。必ず1種類ずつ試してください
- 少量から始める:小さじ1(約5g)からスタートし、問題がなければ少しずつ量を増やします
アレルギー症状のサイン
白身魚を与えた後、以下のような症状が現れた場合はアレルギー反応の可能性があります:
- 口周りや体に赤みやじんましん
- 口の中や唇のかゆがる様子
- 嘔吐・下痢
- 目のかゆみ・充血
- せきこみ・ぜーぜーした呼吸(強い反応のサイン)
アレルギー症状が出た場合は、速やかに小児科へ受診してください。 呼吸困難・ぐったりするなど強い症状の場合は救急への受診をためらわないでください。
食物アレルギー全般についての詳しい情報は、赤ちゃんの食物アレルギー対策ガイドもご覧ください。
食物アレルギーが不安なときは事前相談も
家族にアレルギーがある方、すでにアトピーや湿疹がある赤ちゃんの場合は、白身魚を始める前にかかりつけ小児科医に相談してから進めることも選択肢のひとつです。「心配だから先生に確認してから始めよう」という判断は、とても賢明です。
白身魚の離乳食でやりがちな失敗と対策
失敗1:加熱が足りずに生焼けで与えてしまった
白身魚は必ず中心部まで十分に加熱してから与えましょう。生または半生の状態は食中毒のリスクがあります。電子レンジで加熱する場合はラップをかけて時間を守り、中心部が白くなっていることを確認してください。
「刺身は新鮮だから生でも大丈夫」と思う方もいらっしゃいますが、赤ちゃんの消化機能と免疫機能は大人とは大きく異なります。生魚は離乳食期には避けてください。
失敗2:複数の新しい魚を同時に与えてアレルギーの原因が特定できなくなった
「タラもカレイも一緒にあげちゃった」という失敗は意外と多いです。アレルギー症状が出たとき、どの食材が原因か特定できなくなると、その後の離乳食の進め方に迷いが生じます。
新しい魚は1種類ずつ、3〜4日試してから次の魚へ進めるのが基本ルールです。焦らずひとつひとつ確認しながら進めましょう。
失敗3:骨を完全に取り除けていなかった
離乳食に使う白身魚は、切り身を購入してもまだ細かな骨が残っていることがあります。加熱後に指先で骨がないかを丁寧に確認し、ペーストにする前に完全に取り除きましょう。カレイは特に骨が残りやすいので注意が必要です。
失敗4:市販の缶詰や塩味のある魚を使ってしまった
缶詰のツナや塩さけ、塩焼きなどの加工品には塩分が多く含まれています。離乳食には塩分を加えていない生の切り身や刺身を使うのが基本です。離乳後期以降でも、味付けはごく薄くが原則です。
こういうときは白身魚を一時中断して
白身魚は優れた離乳食食材ですが、次のような状況では無理に与えず、一時中断することも大切な判断です。
- 赤ちゃんが体調不良のとき(発熱・下痢・嘔吐):腸が敏感になっているため、新しい食材は避けましょう
- 湿疹が悪化しているとき:皮膚のバリア機能が低下していると、アレルゲンが吸収されやすくなる可能性があります。かかりつけ医に相談を
- 以前に魚でアレルギー症状が出たとき:かかりつけ小児科医の指示に従ってください。自己判断で再開しないよう注意が必要です
- 赤ちゃんがどうしても嫌がるとき:無理強いは禁物。時期をおいて、別の料理に混ぜるなど工夫して試してみましょう
「食べさせなければ」と焦る気持ちはとてもよくわかります。でも、離乳食を楽しい時間にすることが長い目で見ると一番大切です。うまくいかない日があっても大丈夫。赤ちゃんのペースに合わせながら進めてください。
白身魚を使った月齢別かんたんレシピ
【離乳初期】白身魚のなめらかペースト
材料(1回分):タイの刺身(皮なし)10g、野菜だし(または湯冷まし)大さじ1〜2
作り方:
- タイをラップに包んで電子レンジ(600W)で30〜40秒加熱する
- 完全に火が通ったことを確認し、すり鉢でなめらかにすりつぶす
- だしでのばして、なめらかなペースト状にする
ポイント:冷凍保存可(製氷皿で凍らせてジップ袋に)。1週間以内に使い切りましょう。
【離乳中期】白身魚と大根の柔らか煮
材料(1回分):カレイまたはタイの切り身15g、大根20g、だし50ml
作り方:
- 大根は5mm厚のいちょう切りにして鍋でやわらかく煮る
- 魚は骨を取り除き、一口大に切ってだしで煮る
- 魚をフォークでほぐし、大根と合わせてさらに煮て味を馴染ませる
【離乳後期】白身魚入りおじやで栄養たっぷり
後期になったら、ほぐした白身魚をやわらかいご飯(軟飯)に混ぜたおじやがおすすめです。離乳食初期レシピで紹介しているだしの取り方を応用すると、風味が豊かになります。卵にも慣れてきたら、離乳食での卵の進め方もあわせて参考にしてみてください。
まとめ:白身魚は初期から使える頼れる食材、焦らず一歩ずつ
白身魚の離乳食について、ポイントをまとめます。
- 開始時期:離乳初期(生後5〜6ヶ月)から、おかゆ・野菜に慣れた後にスタート可
- おすすめの最初の魚:タイ・ヒラメ・カレイ(クセが少なくアレルギーリスクが比較的低い)
- タラは慎重に:アレルギーが出やすいため、他の白身魚に慣れた中期(7〜8ヶ月)以降から少量ずつ
- 目安量:中期10〜15g → 後期15g → 完了期15〜20g(公的ガイドの「1回当たりの目安量」。初期はグラムではなく「1さじずつ」と示されています)
- アレルギー対策:平日午前中・1種類ずつ・少量から
- 完全加熱必須:生魚は与えない、骨は完全に取り除く
離乳食は毎日が試行錯誤。うまく食べられない日、嫌がる日があっても当たり前です。
心配な症状があれば、かかりつけの小児科・かかりつけ医にいつでも相談しながら進めてください。この記事が少しでもお役に立てれば嬉しいです。
【参考資料・出典】
・厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)」
・こども家庭庁「授乳や離乳について」
・記事内の月齢別目安量は上記ガイドをもとに作成しています。

