生後10ヶ月になってもつかまり立ちをしないと、「発達が遅れているのでは」と心配になりますよね。結論から言うと、10ヶ月でつかまり立ちをしなくても、多くは個人差の範囲で過度に心配する必要はありません。この記事では月齢別の発育の目安と、様子を見てよいサイン・小児科に相談したいサイン、家庭でできる練習のコツをやさしく解説します。気になる様子があるときは自己判断せず、健診やかかりつけの小児科に相談してください。
つかまり立ちはいつから?月齢別の発育の目安
赤ちゃんがつかまり立ちを始める時期には大きな個人差がありますが、まずは公的な調査データをもとにした目安を知っておくと、不安がやわらぎます。
厚生労働省・こども家庭庁の調査データ
厚生労働省およびこども家庭庁の「乳幼児身体発育調査」によると、つかまり立ちは生後9〜10ヶ月頃にできるようになる赤ちゃんが最も多く、生後11〜12ヶ月までにはおよそ90%以上ができるようになるとされています。早い赤ちゃんでは生後6〜7ヶ月頃から始めることもあります。
つまり、10ヶ月の時点でつかまり立ちをしていなくても、これから数ヶ月のうちにできるようになる赤ちゃんがたくさんいるということです。月齢はあくまで「平均的な目安」であり、1〜2ヶ月の前後差は珍しくありません。
運動発達の一般的な流れ
赤ちゃんの運動発達は、おおむね次のような順序で進みます。ただし順番どおりに進まない子も多く、ハイハイをとばしてつかまり立ちへ進む赤ちゃんもいます。
| 月齢の目安 | 運動発達のステップ |
|---|---|
| 4〜5ヶ月頃 | 首がすわる |
| 5〜7ヶ月頃 | 寝返り・お座りが安定してくる |
| 7〜9ヶ月頃 | ずりばい・ハイハイを始める |
| 9〜11ヶ月頃 | つかまり立ち・伝い歩き |
| 12ヶ月前後 | ひとり立ち・最初の一歩 |
首すわりや寝返りの時期が気になる方は、赤ちゃんの首すわりはいつ?確認方法・遅い場合の受診目安や7ヶ月で寝返りしないのは大丈夫?様子見の目安と練習サポートもあわせてご覧ください。
10ヶ月でつかまり立ちしないのは心配?様子を見てよいケース
「10ヶ月になったのにまだ立たない」と焦る前に、赤ちゃんの全体の様子を確認してみましょう。次のようなケースは、多くが個人差の範囲と考えられます。
様子を見てよいサイン
- 支えがあればお座りが安定してできる
- ずりばいやハイハイ、寝返りなど、何らかの方法で自分で移動しようとする
- 足に体重をかけると、つっぱって立とうとする力がある
- あやすと笑う、声に反応する、目が合うなど、人とのやりとりが育っている
- おもちゃに手を伸ばす、つかむ、持ち替えるなど手の動きが発達している
これらができていれば、つかまり立ちのタイミングがやや遅めでも、運動発達が順調に進んでいる可能性が高いと考えられます。とくに、ハイハイが楽しくて立つことにまだ興味が向いていないだけ、というケースは少なくありません。
つかまり立ちが遅くなりやすい理由
つかまり立ちが平均より遅めになる背景には、病気以外の要因もよくあります。
- 性格・興味の違い:慎重なタイプの赤ちゃんは、安全を確認してから次のステップに進む傾向があります
- 体格:体重が多めの赤ちゃんは、自分の体を支える筋力がつくまで少し時間がかかることがあります
- ハイハイ移動で満足している:移動手段が確立していると、立つ必要性をあまり感じないことがあります
- 練習する環境が少ない:つかまる場所が近くにないと、立つきっかけが生まれにくくなります
小児科や健診で相談したい受診の目安
個人差が大きいとはいえ、客観的な目安を知っておくと「いつ相談すればいいか」の判断がしやすくなります。以下はあくまで一般的な目安です。気になる様子があれば、目安に達していなくても早めに相談して構いません。
相談・受診を検討したいサイン
| 時期・状況 | 相談の考え方 |
|---|---|
| 9〜10ヶ月健診のとき | つかまり立ちをしないことが気になる場合は、このタイミングで医師に伝えて経過を見てもらう |
| 1歳を過ぎてもつかまり立ちをしようとしない | 足を床につけてもつっぱらない・立とうとする様子がまったくない場合は、小児科で相談を |
| 1歳半になっても、ひとりで歩かない | 運動発達の専門的な評価を検討する目安。小児科や小児神経の専門医に相談を |
| 左右の手足の動きに明らかな差がある | 使い方の左右差が続く場合は、月齢に関わらず早めに相談を |
| 一度できていた動きが急にできなくなった | 発達の「後戻り」がある場合は、早めに受診を |
厚生労働省・こども家庭庁の調査でも90%以上がつかまり立ちをできるのは11〜12ヶ月までとされているため、1歳を一つの区切りとして考えると目安がつかみやすくなります。ただし、これは「1歳までにできなければ異常」という意味ではありません。乳幼児健診は発達を相談できる大切な機会なので、不安は遠慮なく伝えましょう。
家庭でできるつかまり立ちの練習とサポートのコツ
無理に立たせる必要はありませんが、赤ちゃんが「立ってみたい」と思える環境づくりは家庭でできます。あくまで遊びの延長として、赤ちゃんのペースで取り入れてみてください。
立つきっかけを作る関わり方
- 安定したつかまり場所を用意する:ソファや低めのテーブル、しっかりした台など、つかまっても倒れないものを近くに置く
- 少し高い位置におもちゃを置く:手を伸ばせば届く高さに好きなおもちゃを置き、立ち上がる動機を作る
- 大人がお手本を見せる:一緒に立つ・しゃがむを繰り返して見せると、まねしたくなる赤ちゃんもいます
- 足の裏で踏ん張る遊び:抱っこした状態で足を床につけ、つっぱる感覚を遊びながら経験させる
練習で気をつけたい安全対策
- つかまり立ちを始めると転倒が増えます。家具の角にはコーナーガードをつけ、床に硬いものを置かないようにしましょう
- 不安定なもの(キャスター付きの椅子、軽い棚など)につかまると転倒の原因になります。重く安定したものを選びます
- 立った状態から尻もちをつくことが多いので、フローリングにはジョイントマットなどを敷くと安心です
- 無理に長時間立たせたり、引っ張り上げたりするのは避け、赤ちゃんが自分から立とうとするのを見守りましょう
つかまり立ちが始まると昼間の運動量が増え、生活リズムが乱れることもあります。お昼寝や夜の寝つきが気になるときは、1歳が昼寝しない・夕方に寝てしまうときの生活リズムの立て直し方も参考になります。
ハイハイをしないままつかまり立ちへ進む場合
「ハイハイをほとんどしないのに、つかまり立ちだけ先にしようとする」「逆につかまり立ちより前にハイハイが続いている」など、発達の順番が前後することはよくあります。順番が教科書どおりでなくても、それ自体が問題とは限りません。
ハイハイをとばす赤ちゃんもいる
赤ちゃんの中には、ずりばいやハイハイの期間が短かったり、ほとんどしないまま、つかまり立ちや伝い歩きへ進む子もいます。つかまり立ちへの興味が強く、移動より「立つこと」に意欲が向いているタイプです。お座りが安定していて、足で体を支えようとする力があれば、過度に心配しなくてよいケースが多いとされています。
一方で、ハイハイは全身の筋力やバランス感覚を育てる大切な動きでもあります。立つことに興味が向いていても、低い段差をくぐらせる遊びや、うつ伏せで好きなおもちゃに手を伸ばす遊びを取り入れると、自然にハイハイの動きを促せます。無理にハイハイをさせる必要はありませんが、全身を使う遊びをバランスよく取り入れてあげましょう。
左右差・反り返りが強いときは早めに相談
つかまり立ちやハイハイの「時期」よりも気をつけたいのが、動きの質です。いつも同じ側の手足ばかり使う、体の反り返りが極端に強い、抱っこすると体が突っ張って反るといった様子が続く場合は、月齢に関わらず一度かかりつけの小児科に相談しておくと安心です。早めに相談しておくことで、必要があればサポートを早く始められますし、問題がなければ安心材料になります。
つかまり立ちに関するよくある質問
つかまり立ちが早すぎるとO脚になりませんか?
赤ちゃんはもともと生理的なO脚気味の状態で生まれ、成長とともに自然に整っていきます。つかまり立ちを始めるのが早いからといって、それだけでO脚になるという科学的な根拠は確立していません。赤ちゃんが自分の力で立とうとするぶんには、無理に止める必要はありません。ただし、立つことを大人が無理に長時間させるのは避け、本人のペースに任せましょう。
つかまり立ちの練習に歩行器は使ってよいですか?
歩行器は赤ちゃんが自由に移動できて便利な面がありますが、転倒や転落の事故も報告されており、使用には注意が必要です。歩行器がつかまり立ちや歩行の発達を早めるという明確な効果も確認されていません。使う場合は短時間にとどめ、段差や階段のない安全な場所で、必ず目を離さないようにしましょう。心配なときはかかりつけの小児科に相談してください。
早産で生まれた場合の目安はどう考えればよいですか?
早産で生まれた赤ちゃんの発達は、出産予定日を基準に数える「修正月齢」で考えるのが一般的です。実際の月齢より発達がゆっくりに見えても、修正月齢で見れば順調なことが多くあります。早産だった場合の発達の目安は個別性が高いため、健診やかかりつけの小児科で、その子に合わせた見方を確認しておくと安心です。
体験から伝えたい「比べないこと」の大切さ
発達の悩みでいちばんつらいのは、同じ月齢の赤ちゃんや育児書のスケジュールと比べてしまうことではないでしょうか。SNSで「うちはもう歩いた」という投稿を見て落ち込んでしまう新米パパ・ママは、決して少なくありません。
けれど、つかまり立ちのような運動発達は、ハイハイで全身の筋力を十分に育ててから立つ子もいれば、慎重に周囲を観察してから一気に進む子もいて、進み方は本当にさまざまです。「平均より遅い」ことと「問題がある」ことはイコールではありません。大切なのは、他の子のスピードではなく、その子自身が少しずつできることを増やしているかという視点で見守ることです。
どうしても不安が消えないときは、心配を抱え込まず、健診や小児科で「気にしすぎでしょうか」と聞いてみてください。専門家に「大丈夫」と言ってもらえるだけで、ぐっと気持ちが楽になることがあります。逆に少し気になる点が見つかれば、早めにサポートを始められます。相談することは、心配しすぎでも過保護でもありません。
まとめ:10ヶ月でつかまり立ちしなくても、その子のペースを見守ろう
10ヶ月でつかまり立ちをしないことは、多くの場合、個人差の範囲です。最後にポイントを整理します。
- つかまり立ちは9〜10ヶ月でできる子が最多、11〜12ヶ月までに約90%以上ができるようになる(厚生労働省・こども家庭庁「乳幼児身体発育調査」)
- お座りやハイハイ、足のつっぱりなど、ほかの発達が進んでいれば過度な心配は不要
- 1歳を過ぎてもつかまり立ちをしようとしない、1歳半で歩かない、左右差がある場合は小児科へ相談
- 安定したつかまり場所やおもちゃで、遊びながら立つきっかけを作る
- 転倒対策をして、無理強いせず赤ちゃんのペースを見守る
赤ちゃんの発達はひとりひとり違います。育児書の月齢どおりに進まなくても、その子なりのペースで一歩ずつ前に進んでいます。気になる様子や不安があるときは、9〜10ヶ月健診やかかりつけの小児科で遠慮なく相談してください。客観的な視点で経過を見てもらうことが、いちばんの安心につながります。

