赤ちゃんのお腹が張っておならが多いとき、「どこか悪いのでは」と不安になりますよね。実は乳児期のガスだまりは、空気の飲み込みやすさと腸の未熟さによって起こることが多く、機嫌・食欲・体重が保たれていれば経過をみられるケースがほとんどです。この記事では、月齢別の原因、家庭でできるガス抜きの手順、そして受診を急ぎたいサインを客観的な指標で整理します。ぽんぽんに張ったお腹をさすりながら心配になる気持ち、よくわかります。一緒に順番に確認していきましょう。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、医学的な診断・治療を提案するものではありません。気になる症状があるときは、かかりつけの小児科へご相談ください。
まず結論:おならが多いこと自体は心配が要らないことが多い
結論からお伝えすると、おならの回数が多いこと単体は、受診を急ぐサインにはなりにくいとされています。大切なのは回数ではなく、「お腹の張り以外に何が起きているか」です。
なぜ赤ちゃんはガスがたまりやすいのか
乳児期にガスがたまりやすい理由は、主に次の3つと説明されています。
- 吸う動作が未熟で空気を一緒に飲み込みやすい:母乳・ミルクを飲むとき、口の端から空気が入りやすい時期です
- 腹筋が弱く、ガスを押し出す力が弱い:大人のようにいきんで出すことがまだできません
- 腸内細菌のバランスが育っている途中:消化の過程で発生するガスの量が安定しにくい時期です
つまり、ガスがたまりやすいのは「発達の途中だから」という側面が大きく、多くは月齢が進むにつれて落ち着いていきます。
「よくある張り」と「気をつけたい張り」の見分け方
同じ「お腹が張る」でも、様子見でよい状態と早めの相談が望ましい状態があります。次の表を目安にしてください。
| 観察ポイント | よくある張り(経過をみやすい) | 気をつけたい張り(相談を) |
|---|---|---|
| 機嫌 | 泣いてもあやせば落ち着く | 火がついたように泣く/ぐったりして反応が鈍い |
| 授乳・食事 | いつもどおり飲める・食べられる | 飲まない・飲むたびに吐く |
| お腹の触り心地 | ふくらんでいるが柔らかい | 板のように硬い・触ると激しく嫌がる |
| うんち | 数日に1回でもやわらかく出る | まったく出ない/血が混じる |
| 体重 | 成長曲線に沿って増えている | 増えない・減っている |
右側の項目に当てはまるものがあるときは、回数や張り具合にかかわらず小児科に相談してくださいね。
月齢別に見る、お腹が張る主な原因
原因は月齢によって少しずつ変わります。今のお子さんの時期に当てはめて読んでみてください。
新生児〜生後3か月:空気の飲み込みと腸の未熟さ
この時期に最も多いのが、授乳中に飲み込んだ空気です。げっぷが十分に出ないまま寝かせると、そのままお腹に残ってしまうことがあります。抱っこの角度が水平に近い、乳首の穴がお子さんに対して大きい(または小さい)といった要因でも空気を飲み込みやすくなります。
また、生後数週から3か月ごろにかけては、夕方から夜にかけて理由がはっきりしないまま激しく泣く時期(いわゆる「たそがれ泣き」)と重なることもあります。お腹の張りが原因のすべてではない場合もある、と知っておくと少し気持ちが軽くなるかもしれません。
生後4〜6か月:動きが増えて腸の動きも変わる時期
寝返りやうつ伏せの時間が増えると、腸の動きが活発になってガスが移動しやすくなります。この時期に「急におならが増えた」と感じるのは、発達に伴う変化であることが多いようです。
一方で、うつ伏せの姿勢を嫌がるお子さんは腹圧がかかりにくく、ガスが抜けづらいこともあります。
離乳食開始後(6か月ごろ〜):食材と便秘によるガス
離乳食が始まると、いも類・豆類・食物繊維の多い野菜などで発生するガスが増えることがあります。加えて、母乳・ミルクの量が減って水分摂取が不足すると便が硬くなり、便秘とガスだまりが同時に起こりやすくなります。
便が数日出ずにお腹が張っているときは、赤ちゃんの便秘を解消する方法15選|月齢別の原因・受診目安で、月齢ごとの対処と受診ラインをあわせて確認してみてください。
家庭でできるガス抜きのやり方【手順つき】
ここからは実際の手順です。満腹直後は避け、授乳前のおむつ替えのときやお風呂上がり、目覚めて機嫌のよいときに行うのが基本とされています。
「の」の字マッサージ
- 手を温め、ベビーオイルなどで滑りをよくします
- おへそを中心に、時計回りに大きく「の」の字を描くようにさすります
- 1周3〜5秒のゆっくりしたペースで、10周ほどを目安に
- 嫌がったらすぐ中断します
時計回りにするのは、腸の走行に沿ってガスを出口へ送るためです。力を入れる必要はなく、皮膚が軽く動く程度で十分とされています。
自転車こぎ体操
- あお向けに寝かせ、両足首をやさしく持ちます
- 自転車をこぐように、片脚ずつゆっくり曲げ伸ばしします
- 10往復ほどを目安に。膝をお腹に近づけるときに軽く圧がかかります
- 途中でおならが出たら、そこでいったん終了して構いません
うつ伏せ(タミータイム)の使い方
起きていて、必ず大人が目を離さない状態で、短時間のうつ伏せをとる方法もあります。腹圧がかかりガスが動きやすくなるとされています。眠っているあいだのうつ伏せは、乳幼児突然死症候群のリスクの観点から避けてください。授乳直後も吐き戻しにつながることがあるため、時間をあけて行いましょう。
綿棒浣腸を試す前に確認したいこと
便秘が絡んでいるときは綿棒浣腸が選択肢になりますが、やり方を誤ると粘膜を傷つけることがあります。挿入する深さ・オイルの量・頻度の目安は赤ちゃんの便秘に綿棒浣腸|正しいやり方とコツ・月齢別の受診目安ガイドで確認してから試してみてください。血が混じった場合は中止し、小児科に相談しましょう。
【編集部作成】受診の緊急度セルフチェック採点表
「様子見でいいのか、今すぐ相談すべきか」の線引きは、いちばん迷うところです。そこで、公的機関や小児科の情報でくり返し挙げられている観察項目を、点数化して整理しました。あくまで判断の入り口として使ってください。
採点表:当てはまる項目の点数を合計します
| チェック項目 | 点数 |
|---|---|
| いちごジャムのような血便・粘液の混じった便が出た | 10 |
| 緑色や黄色の液体を繰り返し吐く | 10 |
| 数分おきに激しく泣き、その合間はぐったりする(間欠的) | 10 |
| お腹が板のように硬く、触ると強く嫌がる | 5 |
| おしっこが半日以上出ていない | 5 |
| 38度以上の発熱をともなう(生後3か月未満は該当時点で受診) | 5 |
| 丸1日以上、便もおならもまったく出ていない | 3 |
| 授乳量・食事量がいつもの半分以下 | 3 |
| 体重が増えていない(成長曲線から外れてきた) | 3 |
| お腹は張っているが、機嫌・食欲は普段どおり | 0 |
点数別の目安
- 10点以上:夜間・休日でも早めの受診を検討したい状態です。特に「血便」「くり返す嘔吐」「間欠的な激しい泣き」の3つがそろうときは、生後3か月〜2歳に多い腸重積症で挙げられる代表的なサインとされています(参考:慶應義塾大学病院「腸重積症」)
- 3〜9点:診療時間内に小児科を受診する目安です。判断に迷う時間帯なら、次の見出しの#8000を活用してください
- 0〜2点:家庭でのガス抜きを続けながら経過をみてよいことが多い状態です。ただし「いつもと違う」と感じたら点数にかかわらず相談してください
この採点表は当編集部が公開情報をもとに整理した独自の目安であり、医学的な診断基準ではありません。最終的な判断は必ず医療機関で行ってください。血便が出たときの見分け方は赤ちゃんのうんちに血が混じるのはなぜ?切れ痔と病気の違い・月齢別の受診目安もあわせてご覧ください。
よくある失敗例と、編集部からのアドバイス
相談としてよく挙がる「やりがちなこと」を3つ挙げます。心当たりがあっても、責める必要はまったくありません。
失敗例1:満腹直後にガス抜き体操をしてしまう
いちばん多いのがこれです。飲んだ直後にお腹を押すと、ガスより先にミルクが逆流して吐き戻しにつながることがあります。授乳から30分以上あけるか、次の授乳前のおむつ替えのタイミングに回しましょう。吐き戻しが続いて心配なときは赤ちゃんの吐き戻しが多いとき|溢乳と噴水状嘔吐の違いと受診の目安も参考になります。
失敗例2:おならの回数だけを数えて一喜一憂する
回数はその日の授乳量や食材で簡単に変動します。数えることが目的になると、機嫌や食欲といったもっと大事なサインを見落としがちです。記録するなら「回数」より「機嫌・授乳量・便の性状」の3点にしぼると、受診時に医師へ伝える情報としても役立ちます。
失敗例3:自己判断で市販薬やサプリを続ける
整腸剤やベビー用サプリメントを、原因がはっきりしないまま長期間続けるのは避けたいところです。月齢によって適否が変わりますし、他の原因が隠れている場合に気づくのが遅れることがあります。使う場合は、かかりつけ医に「今の月齢で、この状態に使ってよいか」を確認してから始めましょう。
すぐに受診・救急を考えたいサインと相談先
迷わず受診したいサイン
- いちごジャム状の血便が出た
- 緑色・黄色の液体を繰り返し吐く
- 数分おきに激しく泣き、その合間はぐったりしている
- お腹が硬く張り、触ると強く嫌がる
- 生後3か月未満で38度以上の発熱がある
- 顔色が悪い・呼びかけへの反応が鈍い
これらは、お腹の張りの背後に別の病気が隠れている可能性を考える目安として挙げられているものです。当てはまるときは時間帯にかかわらず医療機関へご相談ください。
夜間・休日に迷ったら「#8000」と「こどもの救急」
診療時間外で判断に迷うときは、小児科医や看護師に電話で相談できる子ども医療電話相談事業(#8000)があります。2004年に始まり、2010年から全国47都道府県で実施されています(参考:厚生労働省「子ども医療電話相談事業(♯8000)について」)。受付時間は都道府県ごとに異なるため、お住まいの地域の時間帯を確認しておくと安心です。
また、日本小児科学会が監修する「こどもの救急(ONLINE-QQ)」では、生後1か月〜6歳を対象に腹痛・嘔吐などの症状から受診の目安を確認できます。夜中に迷ったとき、手元にブックマークしておくと役に立ちますよ。
まとめ:回数より「いつもとの違い」を手がかりに
赤ちゃんのお腹の張りとおならについて、ポイントを整理します。
- おならが多いこと自体は、発達の途中でよく見られる状態とされています
- 判断の軸は回数ではなく、機嫌・授乳量・便の性状・体重
- ガス抜きは満腹直後を避け、「の」の字マッサージ・自転車こぎ・短時間のうつ伏せを機嫌のよいときに
- 眠っているあいだのうつ伏せは避けます
- 血便・くり返す嘔吐・間欠的な激しい泣きがそろうときは、時間帯にかかわらず早めの受診を
- 夜間・休日に迷ったら#8000や「こどもの救急」を活用しましょう
ぽんぽんに張ったお腹を見ていると、原因がわからないぶん不安が大きくなりますよね。ただ、毎日そばで見ているあなたの「いつもと違う気がする」という感覚は、どんなチェック表よりも確かな手がかりです。気になる症状があるときは、遠慮なくかかりつけの小児科へご相談ください。
【参考資料】
・厚生労働省「子ども医療電話相談事業(♯8000)について」
・公益社団法人 日本小児科学会 監修「こどもの救急(ONLINE-QQ)」
・慶應義塾大学病院 KOMPAS「腸重積症」
【免責事項】本記事は公的機関・医療機関が公開している一般的な情報をもとに編集部が整理したものであり、医師による監修を受けたものではありません。医学的な診断・治療の提案を目的とするものではなく、お子さんの具体的な症状については必ずかかりつけ医または医療機関にご相談ください。記載内容は2026年7月時点の情報です。
