離乳食の納豆はいつから始めていいのか、加熱は必要なのか、ひきわりと粒のどちらを選べばいいのか——安くて栄養があると分かっていても、いざ出そうとすると迷う食材ですよね。ねばりがあって食べこぼしも派手なので、「まだ早いかも」と後回しにしているご家庭も多いと思います。
結論から言うと、自治体が保育の現場向けに示している目安では、納豆は離乳中期(生後7〜8か月頃)から使い始める食品に位置づけられています。この記事では、公的な資料に実際に書かれている内容を確認したうえで、月齢別の使い方と量の考え方、加熱の判断、ひきわりと粒の選び分け、そしてやりがちな失敗例までを整理しました。なお、この記事は公的機関の資料をもとにした情報提供であり、個別の診断ではありません。気になる症状があるときは小児科へご相談ください。
離乳食の納豆はいつから?公的資料が示す開始時期の目安
「◯か月から」と書かれた情報はネット上にあふれていますが、根拠がはっきりしないものも少なくありません。まずは、公的機関が実際に何と書いているかを確認しておきましょう。
自治体の目安は「離乳中期(生後7〜8か月頃)」
大阪市が保育施設向けに公開している「特定教育・保育施設等における離乳の進め方」(令和6年3月作成の食品の使用『開始』時期の目安)では、たんぱく質性食品の「豆類」が次のように時期分けされています。
| 時期 | 豆類で使い始められる食品 |
|---|---|
| 離乳初期(生後5〜6か月頃) | 豆腐、きな粉 |
| 離乳中期(生後7〜8か月頃) | 納豆、高野豆腐 |
| 離乳後期(生後9〜11か月頃) | 大豆 |
| 離乳完了期(生後1歳〜1歳6か月頃) | 厚揚げ、薄揚げ |
出典:大阪市こども青少年局「特定教育・保育施設等における離乳の進め方」より豆類の欄を転記。
保育施設という、多くの子どもに毎日食事を出す現場の基準なので、家庭で参考にする目安としても使いやすい資料です。豆腐から始めた延長で納豆へ、という流れになります。豆腐をまだ試していない場合は、離乳食で豆腐はいつから?絹ごし・木綿の選び方と月齢別の量から先に進めると無理がありません。
国のガイドに「納豆」という名指しの記載はない
意外に思われるかもしれませんが、こども家庭庁・厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)」には、納豆という食品名は出てきません。同ガイドが示しているのは、次のような食品群としての進め方です。
離乳が進むにつれ、魚は白身魚から赤身魚、青皮魚へ、卵は卵黄から全卵へと進めていく。食べやすく調理した脂肪の少ない肉類、豆類、各種野菜、海藻と種類を増やしていく。
つまり納豆は「豆類の一つとして、離乳が進むにつれて種類を増やしていく食材」という位置づけです。「◯か月◯日から解禁」という線引きが国レベルであるわけではないので、月齢の数字だけにとらわれず、2回食に進んで食べる量が安定してきたかどうかを合わせて見てあげてください。進み具合の目安は離乳食の2回食はいつから?進め方とタイムスケジュールにまとめています。
大豆は後期なのに、納豆のほうが早いのはなぜ?
上の表をよく見ると、「納豆」は中期なのに「大豆」は後期と、逆転しているように見えます。これは、同じ大豆でも加工の度合いが違うためと考えられます。納豆は蒸した大豆を発酵させたもので、豆そのものよりやわらかく、つぶれやすい状態になっています。一方、水煮の大豆は皮が残っていて丸く、のどに詰まりやすい形状です。
食材の「かたさ・形」で並んでいると考えると、豆腐→納豆→大豆→厚揚げという順番はとても納得しやすくなります。月齢の数字を暗記するより、この考え方を持っておくほうが応用が利きます。
【月齢別】納豆の使い方と1回の量の考え方
ここからは実際の出し方です。公的な資料に「納豆は1回◯g」という数字の記載は見当たりません。そこで、扱いやすさの観点から編集部で整理した目安を表にしました。数字はあくまで出発点として使ってください。
| 時期 | 選ぶ種類 | 下ごしらえ | 1回の量の目安(編集部整理) |
|---|---|---|---|
| 離乳初期 (5〜6か月頃) |
まだ使わない | — | 豆腐・きな粉で大豆に慣れる時期 |
| 離乳中期 (7〜8か月頃) |
ひきわり納豆 | さらに包丁で刻み、湯通しまたは加熱 | 小さじ1から開始。慣れても大さじ1程度まで |
| 離乳後期 (9〜11か月頃) |
ひきわり/粒(刻む) | 粒は半分〜1/4に刻む。加熱は状況に応じて | 大さじ1〜1.5程度 |
| 離乳完了期 (12〜18か月頃) |
粒納豆も可 | そのままでも。ねばりが気になれば湯通し | 市販1パックの1/2程度まで |
※時期区分と使い始める食品は前掲の大阪市資料に基づきます。グラム・さじ数は公的資料の記載ではなく、当サイトが扱いやすさから整理した目安です。お子さんの食欲や体調に合わせて調整してください。
豆腐の目安量をそのまま納豆に当てはめない
「授乳・離乳の支援ガイド」の1回当たりの目安量では、豆腐は中期30〜40g、後期45g、完了期50〜55gと示されています。ここで注意したいのが、この数字を納豆にそのまま置き換えないことです。豆腐は大部分が水分ですが、納豆は水分が少なく、同じ重さならたんぱく質量がかなり違います。市販のひきわり納豆は1パック30〜50g程度の商品が多いので、「1パックまるごと」は中期の赤ちゃんにはまず多すぎます。
他のたんぱく質と重ねない
ガイドの表は「魚 又は 肉 又は 豆腐 又は 卵 又は 乳製品」という並びで示されています。つまり主菜1品分の目安です。納豆を出した食事に、さらに白身魚や卵を目安量ぶん足す必要はありません。魚の目安量については離乳食で白身魚はいつから?量・種類・アレルギー対処法で公的ガイドの数値を整理しています。
納豆は加熱する?しない?判断のしかた
いちばん迷うのがここだと思います。「発酵食品だから加熱すると菌が死ぬのでは」「そのままのほうが手軽」と情報が割れがちなポイントです。
保育の現場の基準は「基本的に加熱」
先ほどの大阪市の資料には、表の冒頭にこう明記されています。
離乳期は、消化器官が未発達であること及び給食の衛生管理上の観点から、基本的に加熱します。
また「授乳・離乳の支援ガイド」にも、「子どもは細菌への抵抗力が弱いので、調理を行う際には衛生面に十分に配慮する」と書かれています。多くの子どもに提供する保育施設と家庭では条件が違いますが、少なくとも離乳中期のうちは加熱してから出すほうが安心という判断には、こうした根拠があります。
家庭での現実的な進め方
中期は加熱、後期以降は様子を見ながら加熱なしも取り入れる、という段階的な進め方がおすすめです。加熱するとねばりが弱まって食べさせやすくなるという実用的なメリットもあるので、「衛生のため」というより「食べやすくするため」と考えると続けやすくなります。ただし、加熱の要不要に唯一の正解があるわけではありません。かかりつけの小児科や自治体の栄養相談で別の助言を受けている場合は、そちらを優先してください。
加熱の具体的なやり方
- 湯通し:茶こしに入れて熱湯を回しかける。いちばん手軽で、ねばりも落ち着きます
- ゆでる:小鍋に湯を沸かし、10〜20秒ほど。刻んでからのほうが火が通りやすくなります
- 電子レンジ:耐熱容器に少量の水と一緒に入れ、ラップをして加熱。加熱ムラが出やすいので混ぜて温度を確かめてから与えます
- 他の食材と一緒に煮る:おかゆや野菜のスープに最後に加えるとひと手間で済みます
ひきわり納豆と粒納豆、どちらを選ぶ?
納豆売り場には「ひきわり」「小粒」「極小粒」が並んでいて迷いますよね。離乳食での選び分けの考え方を整理します。
最初はひきわりが扱いやすい
ひきわり納豆は大豆を砕いてから発酵させたもので、皮が取り除かれています。皮は消化されにくく、うんちにそのまま出てくることもあるため、始めのうちはひきわりのほうが扱いやすいです。ただし「ひきわりだからそのままでよい」わけではなく、中期のうちはさらに包丁で刻むひと手間を加えると、口の中でまとまりにくくなって食べやすくなります。
粒納豆へ切り替えるタイミング
粒納豆は後期以降、刻んで少しずつ試すのが目安です。丸い豆をそのまま出すのは、のどに詰まるリスクを考えると急ぐ必要はありません。歯ぐきでつぶす練習が進み、他の食材でもかたまりを処理できるようになってきたら、半分に切るところから始めてみてください。
付属のたれ・からしは使わない
市販の納豆に付いているたれは大人向けの味付けで、塩分も糖分も離乳食には濃すぎます。からしは論外なので、開封したらまず外しておきましょう。味付けが必要なら、だしで薄くのばすだけで十分です。
やりがちな失敗例4つ
ここでは、離乳食で納豆を出すときにつまずきやすいパターンを挙げます。どれも「熱心な人ほどやりがち」なもので、責める意図はありません。
失敗1:ねばりが強くて口の中に張りつく
ねばりはそのままだと口の上あごに張りつきやすく、赤ちゃんが嫌がる原因になります。湯通しする、おかゆ・野菜のペースト・すりつぶした豆腐と混ぜる、少量のだしでのばす——このどれかでかなり食べやすくなります。「納豆が嫌い」ではなく「ねばりが苦手」なだけのことは珍しくありません。
失敗2:1パックまるごと使ってしまう
パック単位で扱うとどうしても量が多くなります。開けたら小分けにして冷凍しておくのがおすすめです。製氷皿やラップで1回分ずつ包んでおけば、使う日に必要なぶんだけ解凍できます(解凍後は必ず加熱し、食べ残しは与えないでください)。
失敗3:初めて与えるのが夕方や休日だった
初めての食材は、万一のときにすぐ受診できる平日の午前中に試すのが基本です。夕食で初挑戦して夜間に症状が出ると、判断に迷う時間が長くなってしまいます。
失敗4:他の初めての食材と同じ日に出した
納豆と一緒に別の新しい食材を出すと、症状が出たときにどちらが原因か分からなくなります。新しい食材は必ず1種類ずつ、数日おいてから次へ進めてください。
大豆アレルギーが心配なときと、受診の目安
大豆は「特定原材料に準ずるもの」に含まれる
消費者庁の食物アレルギー表示の制度では、表示が義務づけられている「特定原材料」とは別に、表示が推奨される「特定原材料に準ずるもの」が定められており、大豆はこの推奨側に含まれます。推奨扱いのため、加工食品でも必ず表示されているとは限らない点は知っておくと役立ちます。
食物アレルギー全般の進め方と症状の見方は、赤ちゃんの食物アレルギー|卵・乳・小麦はいつから?月齢別の進め方と症状・受診目安で詳しく解説しています。
初めて与えるときの3つのルール
- 平日の午前中に:受診できる時間帯を選ぶ
- 1種類ずつ:他の新しい食材と重ねない
- 小さじ1から:問題がなければ数日かけて少しずつ増やす
受診・相談を考えたいサイン
- 口の周りや体に赤み・じんましんが出た
- 食べた後に繰り返し吐く、下痢をする
- せき込む、ゼーゼー・ヒューヒューした呼吸になる
- まぶたや唇が腫れる
- ぐったりして反応が乏しい(すぐに受診が必要な状態です)
これらが見られたときは、様子を見続けずに小児科を受診してください。呼吸が苦しそう・意識がはっきりしないなど強い症状のときは、救急への連絡をためらわないでください。夜間や休日で判断に迷うときは、こども医療でんわ相談「#8000」に電話すると地域の相談窓口につながります。また、すでに湿疹がある・家族に食物アレルギーがあるなど心配な事情があるときは、始める前にかかりつけ医に相談してから進めるのもよい選択です。
まとめ:納豆は中期から、加熱と刻みでぐっと食べやすくなる
離乳食の納豆について、要点を整理します。
- 開始の目安は離乳中期(生後7〜8か月頃):自治体が保育施設向けに示す食品の使用開始時期の目安による
- 国のガイドに納豆の名指しはない:「豆類として種類を増やしていく」という示し方。月齢の数字だけで判断しない
- 中期のうちは加熱を:「離乳期は基本的に加熱」という現場基準がある。ねばりも落ち着いて食べやすくなる
- 最初はひきわりを、さらに刻んで:粒納豆は後期以降に刻んでから
- 量は控えめから:豆腐の目安量をそのまま当てはめない。1パックまるごとは多すぎる
- たれ・からしは使わない:味付けはだしで十分
- 初めては平日の午前中・1種類ずつ・小さじ1から
納豆は安くて手軽で、鉄やたんぱく質を補いやすい心強い食材です。とはいえ、初めての日に食べてくれないことも普通にあります。今日食べなくても、数週間後にあっさり食べることもよくあるので、焦らず間隔をあけて試してみてください。
なお、この記事は公的機関の資料と一般的な目安をもとに構成した情報提供であり、医師による監修記事ではありません。個別の診断や指示に代わるものではないため、気になる症状や進め方の不安があるときは、かかりつけの小児科や自治体の保健センターにご相談ください。
【参考資料・出典】
・大阪市こども青少年局「特定教育・保育施設等における離乳の進め方」(食品の使用「開始」時期の目安・令和6年3月作成)
・こども家庭庁/厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改定版)」
・消費者庁「食物アレルギー表示に関する情報」

